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石巻へ

24日に石巻に行き、市内の二カ所で演奏してきました。

23日、ヤマハでのコンサートの後に夜行バスで仙台へ。
早朝到着し、そこからはピアノの中川賢一さんの運転する車で石巻へ向いました。
会場へ向う前に市内をぐるっと一回りしましたが
目に映る光景は、言葉にも文章にも表せないものでした。
まるで別世界です。

初めに伺ったのは、門脇中学校の避難所。
ここは母の母校でもあります。
そこのスタッフの方々のご協力により、訪問が実現しました。

演奏する場所を、校舎内のどこかのひとすみでと考えていましたが、
21日から学校が始まり、しかも門脇小学校が震災時に焼けてしまって、
小学生もここの校舎を使っているため場所が無く、
寝泊りをしている体育館の中でということになりました。

皆さんが生活をしていらっしゃる場に入って弾くなんて、
聴きたくない方もいらっしゃるのでは・・・と心配をしつつの演奏でした。

曲目は
川の流れのように
シューベルト:アヴェマリア
マスネ:タイスの瞑想曲
ピアソラ:リベルタンゴ
星に願いを
アメージング・グレイス
モンティ:チャルダッシュ
ふるさと
など、クラシックだけはなく、歌謡曲からポップスまで
親しみ易い曲を取り入れたプログラムにしました。

「川の流れのように」で始めたのは中川さんの発案でしたが、
『クラシックかあ〜』と思っていたかもしれない年配の方々が
これで肩の力が抜けたと言ってくださいました。
そして嬉しい『アンコール!』の言葉。
G線上のアリアなど2曲弾きました。

終演後に楽器をしまっていると、皆さんが次々に私達のところに来て
聴けて良かった、来てくれてありがとうという言葉をかけて下さり
このような時でもこちらに気遣いをして下さる事に感銘を受けました。

その後は、昨年コンサートをした音楽サロン「自分の木」へ伺いました。
先ず玄関でホールのオーナーと再会を喜び合いました。
あの時は真っ黒な水がとぐろを巻いて建物の前まで迫っていたと話して下さいましたが
今そこには満開の桜が、何事もなかったかのように美しく咲いています...
無事だったピアノを囲んでのミニコンサート。
去年のコンサートでお顔をお見受けした方もいらしていて、
再会出来た事に自然に顔を見合わせては微笑み合いました。

どちらの会場でも、皆さん一見明るく振る舞っていらっしゃいましたが
弾き始めるとハンカチで目を押さえる方も多く見受けられ
こちらも涙を堪えきれませんでした。
最後の『ふるさと』の時には会場に居たほぼ全員が泣いていたと思います。

実際に行ってみると、東京に居てメディアを通して感じていた印象とは全く違うものでした。
簡単に復興と言えるような状況ではありません。
厳しい現実が立ちはだかっていますが、
束の間でも、それを忘れて耳を傾けていただけたかと思います。

辛い時、苦しい時に音楽が人々の悲しみや辛さに寄り添い
そして自分の演奏が少しでも皆様の役に立つのなら、
音楽家としてこんなに使命を感じることはありません。
今回だけでなく、私にでも出来る事を出来る限り続けていきたいと
強く思い、帰ってきました。

こんな苦境のなか、石巻名物笹かまぼこの白謙蒲鉾屋さんが営業してました!!
復興支援に、もちろん買ってきました。

by masae-kobayashi | 2011-04-26 10:06 | 全体 | Comments(0)
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